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インタビュアーが一曲ごとに140字以内で感想(?)を呟きます。


5.僕はムッシュー

●デカダンな雰囲気を感じる曲ですね。作詞はtoyottyさんですが。
T:Bannnaiさんからパリの男性が歌うノスタルジックな詞を書いてくれと言われたんです。私としては 19世紀らしいものにしたいなぁと。さらに、加藤和彦のヨーロッパ三部作のイメージでということ で。しかし、一切聴かないで詞を書いてみることにしたのです。駄目な男のうらさびしい感じで行こう と思ったんです。

寺:しかし、結果としてはレコーディングエンジニアの後藤さんから「ヨーロッパ三部作に入ってそう な曲だねえ」と言われ、当てられてしまったのですよ(笑)実際に、全編に渡って、コンセプチュアル という意味では加藤和彦の影響は大きく受けています。

●歌詞については、非常に短いので難しかったと思いますが、いかがでしょうか。
T:実は、僕はムッシューというのは、僕=ムッシュー(フランス語における何某、特定しない誰か、 の意)という意味を持ちながら、僕はね、ムッシュー、と相手への呼び掛けの意味も持つダブルミー ニングなんですよ。意味を断定したくなくて、匿名的なものにしたかったんです。

●匿名性というとポストモダンのテーマでもありますね。 19世紀(モダン)が舞台なのにポストモダン という捻じれが、なんとも面白くもあります。
T:そして、実は後から気づいたことでもあるのですが、「ムッシュー・ドゥ・パリ」もモチーフに なっているんですよ。「ムッシュー・ドゥ・パリ」とは死刑執行人を意味しているんですけど。

寺:そうするとこの歌がパリの死刑執行人の歌ともとれるとも言えるのです。

●おお…。丘にのぼるだけさというフレーズなんてかなりハマりますね。
寺:そうです。聴く人にとって様々なイメージで聴いてくれたらいいなと思っています。

○インタビュアーのつぶやき:僕はスタイルカウンシルの Cafe Blueやスティングの 1stを想像した。まあ、構造としては理屈に適っているか。パリという土地は多くのジャズミュージシャンの巡礼の地でも あったことから、このサウンドにも異国からのフランス像が見て取れる。なんて。(112字)


6.とりころーる

●以前うかがったのですが、これは一度ローマ字にして書いてみて音の響きを考えた上で日本語に直し たと。(カレーの染み→curry no see me)そうした言葉遊び感覚というのは日頃の、サークルでの友達 同士での崩壊していく言語とかからも来ているんですか。
T:そうなんですよ。私はそうした側面が大きいと思っています。

寺:逆空耳アワーとも言えますね(笑)

T:マーティン・フリードマン状態。「コレ、ホントにキコエルヨー」みたいな(笑)(注:そういう 番組が以前あったのです)

●さて、この曲は元ネタにフィルスペクターがあるとも伺っていますが。
寺:そうです。フィルスペクターが手掛けたクリスタルズの「Da Doo Ron Ron」という曲がありま す。それを大瀧さんがなぞらえた「うららか」にさらに乗っ取ろうと。

T:私も「うららか」にあるような言葉遊びの世界に強く惹かれていましたし。

寺:そうしたものを踏まえながらもオリジナリティを出すという段階で、自分の強みでもあるウエスト コーストサウンドを加えたんですよ。そこに渋谷系も入るというハイブリッドな曲なんですよ。

●不思議だけどキャッチーなバランス感覚がいいです。
寺:そうですね。ありがとうございます。

T:ペロニカにおいてはフランスをイメージしながらも、色というものへの拘りも強いんです。そうし たことが色んな曲についても言えると思います。あと、様々なオマージュが歌詞にもたくさん散りばめ られているので是非気にしてみてください。(笑)

寺:モータウンビートのグルーヴ感もいい仕上がりになってます。モータウンビートが消えてもキック だけでは残り、アコースティックギターはそれを支えるなど、そこはかとない所がポイントです。これ は聴いてほしいです。

○インタビュアーのつぶやき:ゲシュタルト崩壊ではないけど、とりころーるという言葉の意味が分か らなくなるほど音の響きが良い。でもポップスってそれが大事なことだよなと思い出した。それをペロ ニカは凄く意識したグループであると思う。(98字)


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1,200円(税込)
DERA-001
1. 瞑想ジュテーム
2. ノンレムSwimming
3. Pyjama de Ojama!
4. 組曲、真冬のヴァカンス
5. 僕はムッシュー
6. とりころーる
7. ジェニーはご機嫌ななめ

Peronica(ぺろにか)
2009年夏、寺尾伴内の新ユニット構想のつぶやきにより、toyotty、imopyの計3名で結成。 日本語ポップスの再興を目指し、1960〜80年代の音楽研究に基づく楽曲制作を行う。 ますます音楽の再分化が進む今日、テクノ、フォーク、ロック、歌謡曲…あらゆる手法を取り入れた楽曲は ジャンルという野暮な柵をひとっ飛びし、もはやノスタルジーにかられたオマージュを越えて、 唯一無二のオリジナリティをみせつける。

懐かしいのか、新しいのか、全ての曲に散りばめられたギミックに面白さと気持ちよさを覚えずにはいられない。 2010年夏、良きリスナーとしての3人の学生はもの静かに、しかしアヴァンギャルドに、 現代の日本ポップスへとひとつのアルバムを投げつけた。

Deracine Music Records
Deracine Music Records